GaN成長用基板

《材料》
 価格では、高い順にGaN<<SiC<サファイヤ<Si。GaNエピ層の結晶品質では、良質な順にGaN>>SiC>サファイヤ>Si。用途によって選択すればいいが、LEDならサファイヤ(発光の透過可)かGaN、パワデバならSi、SiC(高い熱伝導率)、GaNが一般的。

《面方位》 
 結晶成長し易い(0001)面の利用が低価格で一般的。LEDでは、QCSE解消のため、(1100)面や(0112)半極性面も使われる。半極性面の方が結晶成長が容易。(1120)面は結晶成長が難しいのであまり使われない。
 (0001)面の場合、GaN基板とSiC基板でオリフラの方向が逆(製品依存かも)。LEDやLD等で基板裏側から光を取り出す際は、両面研磨を用いるが、基板裏側に番号が打たれてない場合もあるので面方位は注意。右にsecondary flatがある時に見えている面が、GaNではGa面であり、SiCではC面。

《オフ角度》 
 GaNの{0001}面ではジャスト基板が使われる。(000-1)面は、吸着原子の表面拡散が小さいため、表面平坦性が悪く、不純物の取り込みも多い。(000-1)面に関しては、エピ層の表面平坦性を確保するために、2~4度オフも使われる。
 SiCエピはステップフロー成長促進による、多結晶抑制が一般的なので、4度オフまたは8度オフが市販されており、0度オフよりも安い。Si面、C面に加えて、(1100)面、(1120)面、Si(111)に相当する(03-38)面も手に入る。

《絶縁性》 
 移動度を測りたい場合、基板に伝導性があるとキャリアが基板へ流れ、膜だけの移動度を求められない。n型基板を使う場合、予め絶縁性膜を成長し、その上に所望のデバイス構造を作製。絶縁性膜として、窒素空孔によりn型化しやすいGaNでは、CやMgドープが使われる。SiCなら半絶縁性基板が手に入る。

《へきかい》 
 GaNは(1100)面でへきかい可能。ダイヤモンドペンで試料の端を抑えるだけで、真直ぐに割れる。サファイヤ基板を使う際は、GaN成長層は基板に対して30度回転しているので面方位に注意。X線で要確認。


【基板メーカー】
・窒化物基板
住友電工
三菱化学
KYMA
lumilog

・酸化物基板
並木
田村

・SiC基板
新日鉄
CREE
II-VI

・Si基板
IWS

・基板研磨
Novasic